アパート・ワンルーム経営等の不動産投資に取り組むサラリーマンは近年、増えています。現在では、それらに関する様々なウェブサイトや書籍が存在し、そこには多くの成功例が華々しく紹介されています。
また、以前からそうであったように、いまも地主さんや資産家が不動産投資に取り組み、着実に、安定した成果を出し続けています。
最近では、主婦やOLも不動産投資に取り組むことが珍しくなくなり、新聞雑誌、他様々な媒体で、その成功例を良く目にするのではないでしょうか。
このように、不動産投資関連のウェブサイトや書籍等のメディアは、その性質上、成功している例ばかりをクローズアップしがちです。
一方、当然ながら失敗例もたくさん存在しています。
どんな失敗をしてしまうことがあるのでしょうか?
ここでは、アパート・ワンルーム経営や不動産投資の危険性と対策を、主に失敗例から学んでいきましょう。
アパート・ワンルーム経営、不動産投資に取り組む前に
アパート経営とは
アパート経営とは
アパートを購入するか建設して部屋を貸出し、入居者から家賃を得ることです。アパート購入にあたっては3つのパターンがありますので、下表にまとめます。
アパート購入3つのパターン
不動産の種類 | 土地 | 建物 |
パターン1 | 既に所有しているので購入しない | 新築アパートを建築、購入する |
パターン2 | 新たに購入する | 新築アパートを建築、購入する |
パターン3 | 新たに購入する | 中古アパートも一緒に購入する |
ワンルーム経営とは
区分投資ともいわれ、アパートやマンションの部屋を購入して貸し出し、家賃収入を得ます。1室のみを購入すればよいため、購入代金や維持費などが少なくて済みます。裏を返せば、1室分の収益を得ることしかできないので、大きな利益を獲得することは困難であると言えます。
貯金の目的を明確にしよう
戦後から近年までの日本では、社会人として一生懸命働き、少しずつ貯金をして、最終的にマイホームを持つことが目標となっていました。団塊の世代の多くは、マイホームを持つこそが人生のゴールとも言っていいほどでした。
当時は、終身雇用制などによりサラリーマンの雇用は安定しており、経済が右肩上がりの時代でしたので、多くの人達がその夢を叶え、老後を大過なく過ごし、余生を楽しむ、ということを実現してきたのです。
では、現代の日本はどうでしょう。何年も前にバブルが崩壊してから、先の見えない長期不況が続いています。
いくら一生懸命働いて貯金をして銀行に預けても、ほとんど無に等しい金利であれば、貯金の意味も見失いそうです。例えマイホームを手に入れたとしても、いまの日本では雇用をカットされたり、収入の大幅減などによってローンが支払えず、泣く泣く不動産を手放す人も増えているのが実情です。
貯金の使い道を考えよう
貯金をすることは、とても大切なことです。しかし、今見てきた通り、貯金をしたところで、いまではその先の使い道が見つかりません。たとえ貯金をしたとしても、使うものによっては、ただ、お金が出ていくだけになってしまうのです。
仮にマイホームを買ったとしましょう。長期ローンを組む人がほとんどですから、毎月毎月、そのローン返済に追われます。戸建てであれば、何年かに一度は大きな修繕費用がかかります。マンションの場合は、毎月の管理費も出ていきますし、修繕積立金も出ていきます。
車を購入したとしてもそうです。いまは軽自動車でも、新車なら200万円を超える車もざらにあります。その車検費用や税金、毎月の駐車場代やガソリン代等、馬鹿に出来ない額が毎月毎月、ただ、出ていくだけなのです。
プラスのキャッシュフローを生み出そう
一方、アパート経営やワンルーム経営のために、不動産投資物件を購入したとします。利回りの高いものを購入すれば、毎月5万円、10万円、場合によっては20万円の家賃収入を生むかもしれません。その家賃収入をさらに貯金に充てたり、または車を購入したり旅行をするなど、考えればよいのです。
せっかく貯めたお金を、ただ消費し、さらには使い切ってしまうと、その先の経済が非常に厳しくなります。それよりも、なるべく多くの貯金をして、その貯金の使い道はキャッシュフローを生み出すものを購入し、その利益から好きなものを買い、豊かな生活をするべきなのです。
キャッシュフローと言う言葉を使いましたが、その意味は、現金の流れと、その収支のことを指します。たとえ会計上、利益が出たとしても、実際に現金の流れはどうであったのか、ということまではわかりません。
ここではキャッシュフローについて深く掘り下げませんが、いずれにせよ、ある程度まとまったお金を貯金したら、次はプラスを生み出すもの、キャッシュフローを生み出すものを購入してはどうか、今はそういう時代なのではないのか、ということです。
そして、それを実現するためには、不動産投資という方法がベストの選択であると言うことです。
そして、不動産投資を始めるに当たっても、最初から多額のローンをあてにするのではなく、なるべく多くの貯金をして、自己資金を貯めることが非常に重要になります。
多くの人がマイホームを購入して、ローンの返済が困難になり、あげくマイホームを手放す、などの失敗例を見ても、不動産投資物件を購入した失敗例を見ても、元々の貯金額が少なく、自己資金額が足りないことが失敗の原因であることが大変よくあります。
不動産投資は急いではいけない
インカムゲインとキャピタルゲイン
インカムゲイン
アパート・ワンルーム経営などによる不動産投資では、家賃収入によって、収益を得ていきます。これを投資用語で「インカムゲイン」と言います。
キャピタルゲイン
一方、物件の売買差益で収益を得ることを「キャピタルゲイン」と言います。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
インカムゲインとキャピタルゲインの特徴
インカムゲイン | キャピタルゲイン |
利益が小さい | 利益が大きい |
リスクが小さい | リスクが大きい |
初心者向け | 経験者向け |
よく目にすることがある、不動産投資会社のウェブサイトや投資物件の紹介ページには、セールスコピーとして、お約束のように利回りの高さを強調しています。
銀行に預けていてもほとんど金利がつかないため、不動産投資で運用した方が得だというお約束のセールスコピーは、誰しもが読んだことがあるでしょう。
利回りの高さは本当なのか
不動産投資は他の投資商品に比べて利回りが高いのであると、不動産業者は常にアピールしてきます。
預貯金や外貨預金、生命保険、投資信託などは、すべて低金利ですが、不動産投資ではさらに大きな利回りが期待できるなどと、勧誘するのが通例です。
しかし、不動産投資とは、本当にそんなに利回りが高いものなのでしょうか。
先ほどご紹介したインカムゲインによる投資では、そう大きな利回りは期待できませんし、あまり大きな利回りをアピールされている場合には、少し疑ってかかった方がよいでしょう。
宣伝に使われる物件も実質上の利益を調べれば、「銀行預金に比べると高い」、というくらいのものだったりするのです。
魅力的な利回りの物件を別の目から見ると、そうでもしないと売れない物件ともいえるのです。
利回りの種類
利回りには2種類あるので気をつけなければいけません。
セールスで使われる利回りは表面利回りと言い、年間の家賃収入から購入費用を割ること。実質利回りは実質の利回りのことです。
利回りについてはまたのちに説明します。
利回り計算方法
表面利回り | 年間家賃収入÷物件購入価格×100 |
実質利回り | (年間家賃収入―年間の運用経費÷物件購入価格+購入諸経費×100 |
仮に表面利回りが12%となっていても、実質利回りは8パーセント、ということになるのです。さらに想定される家賃の下落分や空室率も加味すると、近い将来には5%くらいになることが考えられます。
実質利回りでみると、そう、大きな利回りではありません。
いきなり多くの金額を稼ごうと思うと、非常にリスクが高くなります。
ゆっくり、安定して稼いで行けるのは、不動産投資のインカムゲインを得るときの特徴であり、メリットであるとも言えます。
この手法では、急に資産を増やすということはできません。
一方、不動産を売却して得られる売却益のことをキャピタルゲインと言います。
バブルの時代には、この「キャピタルゲイン」で、多くの富裕層を生み出すこともできました。一方、現在ではこのキャピタルゲインはリスクがあります。
建物は時間とともに価値が下がるため、キャピタルゲインを得ることは、現代ではかなり難しいと言えるでしょう。
現在の日本で不動産投資に取り組む際には、インカムゲインのほうがよいでしょう。キャピタルゲインはプロの領域だと考えた方がよいでしょう。
不動産投資は急がず取り組むもの
以上から、素人が資産を増やす際には、じっくり、焦らず、取り組むことが必要と言えます。
お金がないところから、駆け上がるようにリッチになることは、夢があっていいですし、それを目指すことも否定しませんが、現実を知っておくことも大切であると言えます。
貯金をしていない人が一発当ててやろうと思って、無理のある投資をしたり、短期間でお金持ちになろうとするのは、とてもリスクが高いと言えます。そういった順番はとても大切です。先にまとまったお金を貯めましょう。
繰り返しますが、貯金をすることはとても大切です。その貯金の使い先は収益を生むものに使うことがベストです。そして、それには不動産投資がおすすめです。そして、不動産投資に取り組むにあたっては急いで稼ごうとするのではなく、ゆっくり焦らず進める必要があります。
次に、不動産投資に取り組む際の失敗原因を見ていきましょう。
お願いします!
不動産投資の失敗例とその原因
失敗例1:相場より高い価格で購入した
会社役員のAさんは長年、会社で堅実に仕事をし、貯金も大分溜まってきました。そこでいい投資はないものかと探していたところ、インターネットを通じて、とても感じの良さそうな不動産会社を見つけました。セミナーもよくやっているようだし、そこの社員のブログを読んでも、とても好感がもてます。
そこで、その不動産会社に、優良な投資物件を紹介してもらえるようにコンタクトをとったところ、地方都市のワンルーム経営を勧められました。1棟買いの投資だと何億円もかかりますが、区分投資マンションはそれより低額で済むので、気軽に取り組みやすく思えました。
営業マンの話も上手で、悪い人のようにもみえず、信頼しきってしまいました。
実際に立地も良く思え、物件も魅力的に映ったために、あまり考えずに購入してしまったのです。
しかし、あるきっかけがあり、別の会社で査定してもらったところ、Aさんは相場の2割ほど高く購入してしまったことがわかりました。しかし、それがわかったところであとの祭りでした。
相場より高い物件を自己資金不要のフルローンで購入していたため、いざ、売却したくても売却金額がローンの元金を下回っているので、売りたくても売れない、という結果に陥ってしまったのです。
原因
この原因は、言ってしまえば不動産投資に対する知識不足です。不動産投資に関する知識がある人なのか、それともあまり知識が無い人なのかは、不動産業者から見ればよくわかるものです。
不動産業者が物件を売るときに、よくあるパターンのひとつに、はじめは高い値段を提示し、その値段で売り抜けようとするのですが、それが売れなかった場合に値引きして販売する、ということがあるのです。
本物の優良物件というものは、一般の投資家の目に触れるよりも先に、売れてしまうのが常です。もちろん、本物の優良物件をまれに見つけたり、紹介してもらうこともありますが、大体のところは、売れ残ったものを紹介してくるのが不動産投資会社のやり方でもある、ということを知っておいた方がよいでしょう。
また、この事例に関していえば、Aさんが物件の相場を知らなかったことも大きな原因のひとつです。
対策
このような場合は、まず、知識を得ることが必要です。不動産投資の基本的な知識はもちろん、不動産業者のやりくち等も知っておきましょう。
たとえ、大手新聞社が主催して、大手ハウスメーカーが協賛したセミナーだからといって、それを信用しきってしまうのは問題と言えます。
また、相場観を身に着けるためには、インターネット等を活用し、数多くの物件を見ていることが必要です。そして、疑問があったらその場で調べるなり、問い合わせをするなり、ひとつひとつ解決していきましょう。
不動産情報サイトに載っている物件情報やその価格は、あくまで売る側の希望価格であるので、実際に成約した価格と同じではありません。
実際の成約価格は、国土交通省の不動産取引価格情報検索サイトを使えばわかります。
また、自分で購入する際の基準を予め決めておく必要があります。例えば、購入価格はいくら以下、利回りは何パ―セント以上、というように自身の基準を設けることで、決断のスピードを早めることができ、リスクを回避することができます。
失敗例2:シュミレーション通りにならなかった
短い間に利益を出し、アーリーリタイヤを考えていたサラリーマンのBさんは、買い増し投資を行い、アパート経営を行っていました。
買い増し投資とは
融資を連続して受けることが出来るように、不動産投資を拡大していく投資方法です。
これは、次々に融資を受けやすい状況を作り出し、短期間で多くの不動産を購入することができるために、非常に人気のある投資です。金融機関の立場からすると、不動産を担保に取れるために、不動産投資家にお金を貸しやすいのです。
プラスのキャッシュフローを多くすることが大切だと思っていたこの人は、そこにポイントを置いていましたが、シュミレーション通りに事は進みませんでした。
以下に示す表は、この事例とは関係ありませんが、シュミレーションの失敗例としてよくあるケースなので、参考にしてください。
シュミレーションの失敗例としてよくあるケース
費目 | 業者のシュミレーション | 現実 |
想定した家賃収入 | 4,000,000 | 4,000,000 |
入居率 | 80% | 50% |
家賃収入 | 3,200,000 | 2,000,000 |
諸経費 | ▲800,000 | ▲800,000 |
借入金返済 | ▲1,000,000 | ▲1,000,000 |
修繕費 | ▲ 600,000 | ▲1,000,000 |
手取り | 800,000 | ▲800,000 |
原因
原因はシュミレーションの甘さにありました。不動産業者が立てるシュミレーションは、どうしても物件を購入してもらう必要があるので、かなりシュミレーションが甘くなってしまいます。
特にこの場合、もともと修繕費用の見積もりが少なかったことが判明しました。修繕費は管理会社が支払うものではありません。それは、オーナー自身が支払わなければいけないのです。
築古の建物は購入費用が安いため、利回りが高くなりやすく、一見、手を出しやすい物件に見えます。しかし、修繕費は、とても予測の立てにくい費目です。予め、多く発生するとみておかなければなりません。
修繕費の発生を甘く見るのは失敗の原因となります。配管などの水回りはトラブルが起きやすく工事費用もかかります。また、退去者が出ればそのリフォーム、防水工事や塗装工事も、突発的に必要になる可能性が高いものです。
他に予測していなかったことが、家賃相場の下落です。さらに、予想以上に空室がでてしまい、それを埋めるのに、かなりの時間を要したということです。現在、満室だからといって、それがずっと続くわけではないのです。
シュミレーションにおいては、家賃が下落する分を必ず想定しておかなければなりません。厳しい条件で、本当に利益が出るかを確認することが必要です。どのポイントで赤字になるのか、収支をしっかりシュミレーションしておきましょう。
対策
キャッシュフローを考えることは非常に重要なことですが、1年間のキャッシュフローだけを考えることは危険です。空室のリスクも年を経るにつれ高まりますし、中古の物件になると、修繕費で大きな額が必要になることが多くあります。
業者が持ってくるシュミレーションをじっくり検討し、自分自身でもレントロールを必ず見ておかなければなりません。
不動産投資による大きな収入を急いでいる人は、目先の利益とセールスに心を動かされますので、その危険性を知り、注意しましょう。
自身でもシュミレーションすることが大事ですね!
失敗例3:不動産業者を選ぶことに失敗した
Cさんはアパート経営に取り組むことを決意し、いくつかの業者から見積りを提出してもらったところ、安い見積もりを出してきた業者に依頼しました。
着工の際と、中間金まで支払った段階で、その不動産会社が倒産してしまいました。
その結果、予定していた家賃も当然振り込まれず、賠償金も踏み倒されてしまいました。結果、別の業者が引き継ぎましたが、予定していた規模をはるかに上回る費用が掛かってしまいました。
原因
この事例は不運といえば不運ですが、不動産会社が信頼に足るかどうか、見極めることが出来なかったことが原因です。
良いサービスを行っている会社は倒産のリスクも低いものです。
購入前から見極めるチャンスはあったはずです。
対策
不動産業者を選ぶ際には、物件の販売から管理まで行う会社がひとつの目安となるしょう。
長年経営してきたか、それとも、まだ駆け出しの会社であるかどうかは、安定している会社かどうか見極めるためのひとつの指標となります。
これまでに、なにか処分があったかどうかも、出来れば調べておくとよいでしょう。さらに、地域密着の会社であれば、近隣の人達もその評判を耳にすることがたやすく、長く経営を続けているということは、悪い評判が立っていないのではないかという、安心材料のひとつとなります。
また、勧めてくる物件のメリットだけではなく、そのデメリットや、将来的な見通しまでも提示してくれる業者がよいでしょう。
担当者と良いお付き合いをしていれば、倒産の危険があれば、それとなくわかるものですし、なにかアドバイスや注意喚起をしてくれるかもしれません。また、実際にその会社か、グループ会社が投資物件の管理まで行っているならば、その物件を見てみることも必要です。
共有部分の植栽の手入れも全くしておらず、荒れ放題の敷地などがあれば要注意です。
また、ごみ置き場、自転車置き場等もチェックしておくとよいでしょう。やはり、会社の性質はそういったところに現れてくるものです。
失敗例4:毎月の持ち出しが発生してしまった
大手上場企業にお勤めのDさんは、休日自宅にいたところ、飛び込みの営業が訪問してきて、はじめてワンルーム投資というものを知りました。
初めは信用できず、怪しく思ったのですが、営業マンの所属が大手の会社だったことや、誠実な人柄に思えたことで、その人の言うことをほとんどそのまま信じてしまいました。
内容は、全額ローンにしたとしても家賃収入ができるので持ち出しは発生しない。もし、売りたいときはいつでも売れる。ローンが完済されれば、年金代わりになる。とのことだったので、都内の物件を購入しました。
ところが、購入後4年目に当初からの賃料がとれなくなってしまい、毎月数万円を持ち出す形になってしまいました。
原因
Dさんは土地勘がない場所に物件を購入したため、空室リスクを考えることがありませんでした。営業マンの言うがまま立地の悪いところに投資をしてしまったことが一番の原因です。また、全額ローンにしてしまったのも失敗の大きな原因でした。
対策
投資手法にもよりますが、初心者の投資家であるならば、リスキーな方法をとってはいけません。自己資金は多くあった方が断然安全なのです。
大手の営業マンだから、人柄がよさそうだからと言って、言うことをうのみにしてはいけません。これは基本中の基本です。
不動産投資の基礎知識は最低限、学習しておく必要があります。
失敗例5:アパート一軒投資の失敗例
区分所有投資に比べ、アパート一軒投資の場合は家賃収入が全く断たれるということは、そう、多くありません。
Eさんは一括借り上げを利用すれば、家賃が保証されて安心であると思い、知識も経験もないために、ハウスメーカーの営業マンが言うがまま、アパートを建ててしまいました。
ハウスメーカーは、ワンルームタイプのアパートを建築するよりも、ファミリータイプを建築する方が儲かるので、単身世帯の賃貸需要が高くても、ファミリータイプを提案してきます。エリアにもよりますが、ファミリータイプは基本的には賃貸需要があまり高くないため、空室は生まれやすいと言えます。
原因
このように、大手ハウスメーカーは自社の利益が最優先なので、自分たちが有利になるように事を運んでいきます。そして、関連会社に一括借上げをさせることになるのです。
その関連会社は、仮に空室が発生すれば、家賃を下げればいいのでリスクが発生しないばかりか、修繕工事を請けることもできるので、いいことづくしなのです。
このように、アパート建築をする際にはハウスメーカーに意向を伝えないで進めてしまうと、あとで後悔することになります。
一括借上げは家賃は保証されても家賃が下がればその家賃しか保証しないのですが、そこを知らない人がとても多いと言えます。
空室が多く発生すると、家賃が下がります。理由は、一括借上げを提供している会社が、空室の負担に対応するためです。その結果、不動産投資家に家賃を低くすることを提案してきます。
対策
一括借上げをしたとしても、そこには落とし穴がたくさん仕組まれています。
これについては大きなトラブルが続出しているので、様々な事例を学習しておきましょう。特に、事前に契約証書にしっかり目を通すことが必要です。
なるほどです!
失敗の対策まとめ
対策1:立地を吟味する
投資で成功するには、立地が全てであるともいえます。物件については修繕をしたり、リフォームをするなど、手の打ちようはいくつもあります。
しかし、入居者がいないところに不動産投資および賃貸経営をすることはできません。先代から引き継いだ土地が余っているからといって、アパート経営を始めても、入居者が全くあつまらない、では話にならないのです。原則として、賃貸需要が高いところに建てるか、購入しなければ成功することはありません。
しかし、営業マンのセールスは巧妙なので、わかっていてものせられて失敗することはよく見られます。また、先述したように「家賃保証」と言われ、その本当の意味も分からず購入してしますのです。
また、この逆もあります。とても立地のいいエリアに建てたとしても、考えることはみな一緒です。皆がそこに建てるか購入すれば、次第に供給過多になるのです。
そして、最終的には家賃をさげるしかなくなってしまいます。
対策としては、需要と供給を見極めることです。そのためには、物件を購入する前に、大量の物件、エリアを検討する必要があります。
最近の業界用語で、「3チカ物件」という言葉があります。
- 駅から徒歩10分圏内(駅からチカい)
- ターミナル駅まで30分前後(都心からチカい)
- 高い地価(チカ) (需要があるから地価が高い)
という意味ですが、目安にするとよいでしょう。
対策2:空室対策
どんなに条件の良い立地でも、また、どんな優良物件でも、空室の発生リスクは常について回ります。それが避けられないリスクであったとしても、長引けば長引くほど、その分収入が発生しないことになるため、長期化することは絶対に避けなければいけません。常に魅力的な物件でありつづけるような工夫をすることでリスクを軽くする必要があります。
家賃を下げることは簡単ですし、空室は埋めることができますが、その分、利回りも低くなりますし、古くからの入居者から不満が出るばかりか、同じように家賃を下げてほしいとの要望もまた出るはずです。
そこで、いま、はやりの対策として、「フリーレント」というものがあります。これは、入居後1か月から3か月くらいの家賃を無料とするやり方です。
借りる側にとっては転居の際の初期費用を抑えることができ、オーナーにとっては入居者を確保することが出来るというメリットがあります。
また、洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫付きにすることで、入居者が入りやすくなります。
対策3:家賃滞納対策
借主から家賃を滞納されるリスクもあります。これも結局のところ空室と同じく、家賃が入らなくなります。
滞納を繰り返す入居者を放置してしまえば、味をしめてまた同じことを繰り返すのは間違いないと言ってよいでしょう。
早急に家賃の督促をすることが必要です。
しかし、この督促には慎重に進めなければなりません。滞納している家賃を支払わせ、さらに、引き続き住み続けてもらえることがベストです。
直接オーナー自身が対応するのは、なるべく避け、入居者審査や家賃保証会社などを利用することを検討する必要があります。
家賃保証会社とは
借主が家賃を延滞した際に、借主の代わりに立替をする会社です。家賃支払いの連帯保証をし、借主から保証料として手数料が支払われます。
形態は様々あります。借主が連帯保証人のように活用することもあれば、不動産会社が指定する会社に加入することもあります。連帯保証人がみつからない借主は、結構多いものです。
また、入居を希望される方の入居審査をしっかりやることです。入居希望者には様々な社会的背景がありますので、それに応じた対応がまた必要になってきます。
いずれにせよ、早目の対応を心掛ける必要があります。
対策4:火災・天災発生時の対策
近年の日本では天災が続いています。最近では千葉に台風が続き、多くの住宅が被害を受けました。熊本の豪雨では堤防が決壊するなどして、これも甚大な被害を生んでいます。こういったことは予測することがまず不可能ですので、物件に被害が及ぶ前に、保険に加入しておくことが必要です。
対策5:資金対策
とにかく、自己資金を多くすることです。可能であれば全額自己投資にすれば、リスクはかなり低くなります。ローンを返済する必要がないということは、不動産投資を行うに当たり、大きなメリットです。
一方、不動産投資の規模を急拡大させたい場合には、最大限、融資を活用するべきですが、これまで見てきたように、不動産投資で失敗しないためには、やはりじっくり、焦らず取り組んでいくことが賢明です。
自己資金は十分用意しましょう。
まとめ
ここまで、不動産投資の危険性を知り、そしていくつかの代表的な失敗例を知ることから、それを回避するための有効な対策が導き出せたのではないかと思います。
以下にまとめます。
- 不動産投資の性格を知り、それに向かう基本姿勢と基本知識をしっかりと学ぶこと
- 不動産投資に関する日々の情報収集と日常の学習を継続すること
- 投資にあたっては自身の基準を設け、シュミレーションも含め厳しめに設定すること
- 契約書を深く読み込み、少しでも疑問や違和感が生じたら立ち止まって考えること
- 物件の運用にあたっては管理会社に任せたままにせず、日々の工夫を重ねること
- 不動産投資会社、または管理会社の担当者と良好なコミュニケーションを継続すること
以上を徹底することで大きなリスクを回避することが出来、安定した不動産投資が可能になることでしょう。
勉強になります!